2013年1月31日木曜日

「苗繍の会」1月

中国少数民族の刺繍に惹かれた者がなんとなく集まるようになりました。
毎月一回、一緒に刺繍をしたり、古刺繍を鑑賞したり、展示会に出かけたり、と今年で8年目になります。
名付けて「苗繍の会」
メンバーは4名。
中国語が堪能で、中国茶にも詳しいMさん、蘇州刺繍を習ったこともあり、すばらしいバティックを描かれるKさん、貴州省の田舎までひょっと行って材料を買ってきてくれるSさん。
Sさんは自分の足で集められた刺繍のコレクションも多彩で、その鑑賞で会を過ごすこともあります。貴重な刺繍のお手本にもなっています。


さて、今年はみんなで何に挑戦しましょうか、ということで、苗族ではなくトン族の「太陽文様」をさすことにしました。

2013年1月18日金曜日

Miao Embroidery Class ‐その3‐

Class 3(4種類)

 苗刺繍教室では一応Advanced Course とか。とにかくここまで来ました。

 まず「剪紙破線繍 ジエンジポシエンシュウ」。
 
この刺繍をするには、まず土台になる切り紙を作ることから始めます。
重ねた薄紙の一番上に絵を描き、これを「紙縒り」で一番下の紙まで留めて、まとめて切り抜きます。(この教室では3枚ほど)
この絵を布に糊付けし、平繍で埋めていきます。

剪紙
この平繍に使う絹糸は「破線繍」という名のように細く割いた糸を「さいかち」の実から作った糊をつけます。こうすることによって細くても強い光沢のある糸になるのです。

破線繍
そして、おなじみ「長短繍 チャンドゥワンシュウ」(ロングアンドショート)。

長短繍
グラデーションが少し入っている糸を用いたので、その効果を楽しみながらさすことができます。


次に「双針繍 シュワンゼンシュウ」2本の針を使う刺繍。

下絵を描いた紙の上からさします。

良く縒りをほどいた糸をねじって輪にし、もう一方の針に通した糸でその輪を留めていく方法。

苗の人は驚く細かさでさしていくけれど、初心者の私にはとうていできない。
永遠の課題です。


双針繍
クラス3の最後は「絞繍 ジャオシュウ

これはちょっと不思議な刺繍。
図柄のアウトラインに沿って太目の巻き糸を留めておき、その中を綿糸で埋めていきます。
刺繍糸でゆるい輪を作り、その形をこわさないようにして並べていくかんじです。


絞繍

以上、カリキュラムとして習った内容ですが、説明はかなり簡略したものです。

この段階ではとても「苗刺繍」と呼べる代物ではありませんが、とにかく基本は学ぶことができました。




この後、まだカリキュラムになっていない技法も教えてもらうことになりました。

「苗刺繍」は奥が深いです。

是非その本物を見ていただきたいので(お口直しに)、常滑市に昨年開かれた「苗族刺繍博物館」をご紹介します。

http://miao-japan.com

是非「刺繍コレクション」のページをご覧ください。


2013年1月9日水曜日

Miao Embroidery Class ‐その2‐

Class 2(4種類)

 やっとクラス1を終えて無事クラス2へ。
このクラスでは苗刺繍の特徴ある技法が学べます。

 まず「空針繍 コンジェンシュウ」。
    
 「空針繍」とは文字通り空洞のある太い針を使う刺繍。
 その空洞に糸を通して下絵の上から突き刺して絵を埋めていく。
 すると裏に一定の長さの輪(フリンジ)ができるので最後にその輪を短くカットしてできあがり。
ちょうど絨毯のようになります。
 この面が表。
 輪を短く切った時の色の出具合が楽しみ。

空針繍


辮繍
次は「辮繍 ビエンシュウ」。
 幅3ミリ程度の組みひもを留めながら下絵を埋めていく技法。

 まずこの組みひもを9本の絹の縒糸で編む。
 「リズムよく編むことが大事です」と先生。

 本当はこの花の中も全部ひもで埋めなくてはならなかったのですが・・・














 そして 「貼布繍 ティエブシュウ」(布畳ブディエとも堆布繍ドイブシュウなどともいう)
 これは、刺繍というより紙細工のよう。
 糊付けして紙のようになった薄い絹の布を小さく切って折り畳み、重ねて留めていきます。
 ため息で飛んでいってしまうような小さなピースを細い針で糸が目立たないように留めていくのです。
貼布繍
重なりが多くなると容赦なく針が折れます。
 あーしんど。 


 このクラス最後は「打子繍 ダーズシュウ」(フレンチナッツ)。
 切り絵を土台の布に荒く縫い付けておいて、この絵の輪郭に沿って太い巻き糸を留める。
 そしてこの巻き糸の中をフレンチナッツで埋めていく技法。
 絹糸は完全に縒りを戻してから使います。
  
打子繍

 
 
                   



 

2013年1月5日土曜日

Miao Embroidery Class(みゃおししゅうきょうしつ)

 2003年に上海で出会った「苗刺繍教室」。
私よりずーっと若い貴州省からいらした少数民族の苗族の先生と文字通り手取り足取りのレッスンが始まった。
 
Class 1(4種類)
 
鎖繍(スオシュウ)
1番やさしそうな「鎖繍」(チェーンステッチ)から。
黒い布の上に銀ペンで描かれた下絵をさしていきます。
苗族の人たちの倍以上のさし目になってしまっても「揃っていればいいですよ」と先生。

 次は「平繍」(サテンステッチ)。
とにかくフリーハンドで描かれた図柄が楽しい。
後でこのステッチが大変難しいことを思い知らされるのでした。

 そして「定線繍」。
絵柄の輪郭に沿って縒った糸(2色)または太目の糸を這わせて別色の糸で留めていきます。
平繍(ピンシュウ)
龍と鳳凰をさしてみたけれどクッションにして差し上げてしまった。
また、さしてみたい。

 
 



 この基本クラス1の最後は「鎖辺繍」(ボタンホール)
ここで初めて絹糸を扱うことに。
滑る、細い、冬の荒れた手に容赦なくひっかかって手が止まってしまいます。


 励まされながらやっと仕上げました。
鎖辺繍(スオビエンシュウ)

2013年1月3日木曜日

新年を迎えて

中国の少数民族の刺繍に出会ってほぼ10年になった今年、それまでぽつぽつと刺してきた拙い私の刺繍を記録したくなりました。
さて、どれだけ彼らの刺繍に近づけるか、どれだけ前に進むことができるか、自信はないけれど何か形になるよう願っています。